クルクル迷路
エッセイ/原稿用紙5枚/2004.5.16
クルクル迷路である。えっへん!
静止してりゃあなんてコトない単純迷路も、ひとたび動きを与えてやりゃあ、チョイト、ムツカシク(メンドくさく!) なるっちゅうアイデアである。ただそれだけのもの。
迷路の方が勝手に回転する、というところがミソなんである。
さあさ、どうぞどうぞ、遠慮なく、スタート(S)からゴール(G)へ行ってください。
遊び方は、目線だけ使うこと――おいおい、画面に指なんか押しつけるんじゃないよ!
これを考えたのは、はっきり言ってかなり昔。当時の俺のパソコンはx68kというもので、それはそれはもう、少数派の悲哀ちゅうものを、ギリギリと噛みしめていたものでしたっけ……。(今のヒトは知らんだろ……)
そのころの俺が、一時的なものにせよ、興味を感じて挑戦したのがCGAだったわけだ。
マジでアマチュアCGAコンテストに参加しようと思ったくらいだもんな。で、一生懸命考えて、生み出したのが、上記のアイデアなのである。
動作は無限ループさせて、いつまでも回しておけばいいからチョー簡単。ラクチンだ。これなら、俺にだってできる。
だいたい、この「YAO-文」に置いてある他の作品を見てもらえればわかっていただけると思うが、俺っちはストーリーとか、芸術性なんてものを考えるのが苦手なのである。アイデア(思いつき)一発勝負の男なんである。
迷路をくるくる回転させる――。なんともその、バカバカしくて、かえっていいじゃないか!
そう、思ったのだ。(独りよがりとも言う)
もちろん、これだけじゃ芸がないから、ない頭をしぼりましたよ。
アニメーションだから、どんなことでもできる。
迷路の床に一瞬穴を開けて、落とし穴を表現してみたり、壁からいきなりヤリを突き出させてみたり。
迷路を立体的に回転させ、裏っ側に回らなきゃゴールできないようにもしました。
もちろん、先に書いたとおりに、ルールは目線を使って道を進むことです。目線が落とし穴を見てしまったり、ヤリにぶつかったりしたら、アウト、です。スタートからやりなおし。……どうです? ちっとは楽しそうでしょ?
結局どうなったかといいますと、コンテストには参加しませんでした。
機材がなくて、ビデオテープに映像を落とせなかったのと……
事前に知人に見てもらったんですが、いまいち、よさげな反応がなかったからです。
どうもゲームというよりは、インテリアのようなもの、と、とらえられてしまったようです。
きれいな映像が、なんかわからんけど、くるくる回っているなぁ……。
そんな感じだったようです。
若かった僕は、それでヤメにしてしまいました。
今にして思えば、やっぱり参加してりゃよかったかなあ……。
いやいや、恥かく――どころか、まったく無視されて終わる――結果になっていただろうから、参加はやっぱりしなくてよかった、のかなあ……。
まだまだ修行の足りぬ、僕だったのでありましたよ……。ちゃんちゃん。